- 国会でもTV向けに「大型パネル」を用意して説明するように;
- 記者会見でも画面を左右に分けて,一方に「大型パネル」を割り付けておいて,ユーザの選択によって「パネルだけ」の表示もあると嬉しい。
- あと,話題のレベルが低い要な場合,「書き込み」が意外と参考になったりして...。
詳細は新聞報道でフォロー出来るだろうから,以下には私の記憶に残った部分を書き出すことにします。
(1)メルトダウンの認識時期について
今回もまた,此の点の追求があった。特に「第一号機の(数値)解析」との関わりで,多くの記者から質問がでた。武藤さんは,これまでの記者会見でも一貫して,
- M1:「メルトダウンの有無」と「炉心冷却作業の遂行」とは関係がない。
- M2: 燃料を冷却し続ける事がすべて。
- M3: 第一号機の(数値)解析が,実際の条件を反映して出来たのはつい最近の事。
しかし,武藤さんの経歴を拝見すると東京大学工学部原子力工学科出身のようです。当然,TMIでの冷却剤喪失事故(LOCA)の事は熟知されている訳です。おそらく,当時にはLOCAでの過酷事故の数値解析はそれこそ系統的に多数計算されていたのでは無いでしょうか。LOCA後に,どれほどの時間幅で炉心溶融や制御棒の溶解が発生するかなどは,原子炉を運用する者にとっては基本知識ではないでしょうか。
- やはり素人記者を相手に煙に巻く様な態度は如何なものかと考えます。
一方,これらの数値解析を判断する為には,炉のパラメータ(温度,圧力,注水量,注入窒素ガス量)の計算値と実測値の比較が必要でしょう。これを公開して,多角的な検討を外部の研究機関にして頂く必要があるのではないでしょうか?
また,数値解析だけからメルトダウンを決めるのではなく,「放射線量率」「放射核種の同定」「質量分析法による”核反応生成物質や核燃料成分”の分析」を;
- 原子炉建屋内部
- 原子炉建屋地下水
- タービン建屋内部
- タービン建屋地下水
(2)「水棺」の危険性
昨日の活論は,当面は「循環注水冷却」が出来れば,気温程度の循環水(~40℃ほど)だから,現在の第3号機の140℃としても,流量を上げる事で冷温停止に持って行く事が出来ると言っていた。しかし,長期的には安全性を上げる為に「水棺」に移行したいといっていた。
もしも,核燃料のメルトダウンが強く進行して,原子炉圧力容器から燃料溶解が格納容器に多量出ているならば,格納容器についても「循環注水冷却」の対象にする必要が出て来るかもしれない。
しかし,其の場合も 「水棺」にするのは危険ではないか。すなわち格納容器の基本は空気で満たされている状態である。それを水で満たせば,設計時に想定していない大質量になるわけで,今後起こる余震とか東海大地震などで「水棺」が力学的に破壊する可能性がたかくないのか?
とにかく,東電さんは,「通常運転中の原子炉の専門家」かもしれないが,「事故を起こした原子炉には素人」ではないのか?
やはりここは,広い意味で「世間の目」を信頼して,作業の見直しをする必要があると思う。
どちらにしろ,,本来ならば原子力安全・保安院が「水棺による力学的挙動変化の評価」をした上で,許可を与えているのだろうな。
(3)素人の疑問
ある記者の方が,東電の作業には場当たり的な行動と見える;
- 第2号機のトレンチから海へのリーク防止:
- 土木専門家が初期の方法は「常識ハズレ」と言っていたが...。
- シルトフェンス:本当に効果が確認出来たのか?
- 本当に専門家集団にコンサルタントになってもらっているのか?具体的に例示して欲しい。
- これに対して,具体名は出てこなかった。
(4)記者団が聴かないのですが...
私が気になっている一つに『各号機の「使用済み燃料プール」』の安全性の確保です。第4号機の場合は上空からの写真撮影などもされて健全性の報告がありますが,他については「?」ですね。 「使用済み燃料プール」だって水冷が滞ったり,何かが飛び込んで来たりして燃料棒同士が近接したりすればメルト・ダウンの危険性がある訳です。
仮に,東電がその存在を軽視しているような場合,注意を喚起するのが原子力安全・保安院の役目だろうに。
(5)本当に悪いのは?
東電・原発事故は,ある意味,現政権の弱点をあぶりだしているとおもう。私のように理工系出身者は現政権が政権交代したのにも関わらず,なかなか改善が進まないのか。せめて,地震・津波の対策は地方自治体が主役で早急に進行するかと思っていたが,結局国会がぐちゃぐちゃで進まない。
逆に,原発事故では,国民全てが危険を背負うので,与野党の区別無く論議が伸展すると思いきやすすまない。ただ,原子炉事故は,理工学的な常識があれば,大雑把な進行は素人でも読めるので,動かぬ構造が段々と読めるようになってきた。
結局,長い自民党時代に構築されてきた官僚・大会社の癒着構造,今の場合「経産省」と「電力会社群の原子力村」とが連携して「原発事故の矮小化」をはかっているのだと感じる。特に「矮小化」については,ある種のディレクタ(群)がいるように感じる;
- 保安院の審議官で,「メルトダウン」を発言した方の早期更迭を仕向けたヒト。
- 首相に1Fサイトに行く意思決定をさせるだけの「数値データ」を示した人。
- 官房長官に『食料での「放射線量率の規制値」は保守的に低すぎる』から改正すべきと助言したヒト。
- 1Fでの『「低濃度汚染水」の緊急放出』にあたって,「緊急放出ゆえに他国との調整は不必要」と誤解させたヒト。
まさに「メルトダウンした核燃料」「飛散した放射性生成物質」はいくら隠してもその影響をぬぐい去る事は不可能である。まさに「放射能は目にも,鼻にもかからない,ステルス性」があるので,「矮小化」や「隠蔽」がし易い訳だ。でも,逆に「放射線計測」を手間ひまをいとわずに行えば,其の姿を把握出来るわけだ。たとえば;
- 最近になって,遠方なところで「お茶の葉で,生体濃縮」をされた結果基準を上回る放射線量率の報告があった。
- 「正しい放射線計測」によって「放射能をあぶり出した」例である。
- 今更ながら,原発事故の直後に米軍航空機が「放射線測定の為の絨毯計測」をし,直ちに米軍関係者に「1Fから80km圏内への立ち入り禁止」を出した意味が判るというものだ。
- 上記データを首相がどのように解釈したかを知りたいと,思っています。
- 官房長官に聴いたら「20km圏外には,直ちに健康を害する状況にないものと考えておりますが,データを精査中でございます」といった定型文が帰ってきただろうな。
現在我々のもつ「広範囲な知識や人材,高度な工業技術力」を日本〜世界にむけて招集し,この災害を乗り越えるしかない。その時,官僚組織こそが「知識・人脈の宝庫」なわけで,この一団が政府の元に結集して「地震・津波・メルトダウン」への対処を進めてもらうしかない。ある意味,官僚が自発的に我が国の再生を始める必要が在る。しかし,「最近の国会論議」や「原発事故の合同記者会見」 を拝見していると;
- 現&元の官僚の方々は,「矮小化した自分の責任」を全うする事に集中していて,現実に起こっていることに対応できていない。
- とくに原子力安全・保安院の場合は,人件費の無駄使いにしか見えない。
- 原子力安全委委員会も,市民の安全を高い観点から政府に進言する筈が,有効な助言がされていない。
- 国立の研究機関も高度な放射線計測,微量成分分析等の観測能力を自発的に展開出来ていない。省庁間の利害によって動きが取れないのではなかろうか。
- 放射線の拡散は,大気や海洋をとおして,近隣の国々は勿論,世界中の国々に影響を与える。なぜ外務省が積極的な情報配信に乗りでないのか?
政府は『「地震・津波・溶融」災害対策タスクフォース』を内閣府に新設して各省庁から専門家を招聘して首相直轄チームとして,新しい日本の再生プログラムを捻りだす道しか無いように感じる。政界の再編などは,「地震・津波・メルトダウン」がある程度片がついてから,ゆっくりとやってくれれば宜しいかと思います。そのときは,民主も自民も関係なく一からの再編をして欲しい。
- 他方,「東電・福島第1原発事故調査委員会」を「民間の専門家」と「民間の調査員(裁判員に類似)」と「IAEAの専門家」によって早急に開始するべきではなかろうか。もはや「国の専門家」を市民は信用出来ないのでは?
- 国家公務員については,「不作為に対する懲罰は免責」するが,「虚偽の証言,資料の改ざんについての懲罰は制定」するものとする。
- 民間企業の会社員についても,「無誤謬性を求めない」,すなわち「緊急操作中のミスは免責」するが「虚偽の証言,資料の改ざんについての懲罰は制定」するものとする。
東電は,全力を福島原発に投じて欲しい。東電のユーザは,計画停電でなくとも,自主的に電力を削減するぞ。
東電は官僚の諸氏に「開かれた組織には強さが宿る」というお手本となってほしいものだ。
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RV.00 2011-05-18 16:11
RV.01 2011-05-18 19:14 「記者団が聴かないのですが...」
RV.02 2011-05-19 13:04 細かな修正
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