例えば,福島第一原発(1F)から半径20〜30kmへ自主退避している方々が家に戻るについて;
- その安全性や,天候などの関係を精査して決めたいと思います。
- IAEAにより,局所的な空間線量率や土壌での線量率が高い事を指摘されても,我が国の計測では,健康に問題になるレベルではない。さらに分析をする所存である。
このような用法を東電の記者会見でも散見するようになった。たしかフリーランス記者の上杉さんが,福島第一原発構内でのプルトニウムなどのアルファ崩壊原子核を見積もる為に,土壌サンプリングとそのアルファ線分析の結果報告をなんども要求し続けている。
アルファ線分析:土壌をサンプリングや大気をフィルタを通して吸引サンプリングして来て,それらからプルトニウムなどの重金属成分を化学的に抽出して,その上澄みを薄いフィルムに塗布乾燥したのち,空気を除く為に真空引きして,Si半導体検出器で崩壊アルファ線のエネルギー測定をして,核種を同定することが出来る。測定するまでに手間と時間が掛かるが,結論はガンマ線分析に比較して不確実性がすくない。勿論,ベータ線分析などと,総合的に詳細な分析をするのは勿論大切であるが,現在のように,不安定な状態の原子炉を抱えてトライ&エラーに追われている場合,『精査とか分析に時間を費やす』のはサボタージュの危険性があろう。それに対して,東電側も始めの内は,「外部委託をすると1週間かかるので,待ってください」と言っていたのが,最近では「総合的に分析・精査してから,お出しするのでまだしばらくかかる」と言い出している。確かに此の手の分析は「細かい手違い・勘違い」が起こるので,それに対処するには,複数の場所で分析させ,付合わせる必要が在るかもしれない。でも,それには1日もあれば十分だ。あまりにも回答が遅いと,「中性子測定」の二の舞になってしまわないのか。
でも実際のところ,アルファ線スペクトロスコピーは,解析中に大きな間違いはあまりないものだと理解している。何故ならば,測定するアルファ線(ヘリウム原子核)は荷電粒子である為に,Si半導体中のなかで,運動エネルギーをすべて検出器に渡すので,エネルギー分布(スペクトル)がシャープであり,そのエネルー値も単純な事が多いからである。
その一方,ガンマ線スペクトロスコピーではエネルギー分布が複雑である。ガンマ線を出す核種も多ければ,放出されるガンマ線のエネルギーも多数ある。その上,ガンマ線はエネルギー値が高い電磁波(光)なので,Ge半導体検出器のなかで完全にエネルギを吸収されない部分(コンプトン散乱)がでるので,エネルギー分布 (スペクトル)が複雑となりやすい。まして,通常の原子炉の運転では「自動スペクトル分析ソフトウェア」による報告をチェックしているだけで十分だろうから,緊急時に見慣れないピークなどが,それもオーダが何桁も変わった場合,動転するだろうとおもう。しかし,この「ガンマ線スペクトルに急変したとの速報」こそ,近隣の自治体の皆さんや我々市民,IAEAが望まれていることであって,「精査するから出さない」のは間違えである。
従って,本論に戻るが,燃料棒の破損に直結するアルファ線スペクトロスコピーについては;
- 「土壌サンプリング」や「空気中からフィルタに集塵したサンプリング」のアルファ線スペクトルは,スペクトルを添付した上で結果を即時公表すべきと考える。
- 桁違いの結果の場合は,複数の結果の相互チェックを公表すると同時に,さらに専門の機関,放射線医学研究所,理化学研究所,原研,大学などに,それこそ「再測定・分析・精査」を願えばいいのではなかろうか。
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