2011年7月10日日曜日 23:33

「原発の安全性」をストレス・テストで本当に確認できるのか?

東電・福島第一原発の事故の教訓は本当に判っているのだろうか? もしそうならば,其の教訓を踏まえてストレス・テストを評価して,まずはストレス・テストの妥当性を確認してから,他の原発への実施を考えるのが正しいのではないのか?でも,現実は事故後4ヶ月も経過するに至現在でも,一般市民に判る形での報告はない。
  • 間違いなく,一部の行政の段階で止まっているのだろう。
  • でも,間違いなく「事実のリーク」は止められないのではなかろうか。
その上,ヨーロッパのように大型地震があまり無い所で策定されたストレス・テストを我が国に単純適用させるのに,どれだけの意味が在るのだろうか?

政府がストレス・テストを実施して,原発の稼働率を上げたいという焦りは十二分にも理解出来る。しかし,現実の電力消費量の動向は,主要製造業の『「土日休日」→「木金休日」』によってドラスティックに変化しつつあるようだ。私見だが;
むしろ,今回の『東電・福島第一原発の事故の教訓』は大雑把にいって;
  1.  緊急冷却系が作動しなかった時の,対応手順が明確でなかったこと。
  2. 原子炉格納容器のベント時に,水素ガスが正常に排気煙突に流れずに逆流して,水素爆発にいたった可能性があること。従って,その可能性についての検証と,緊急対策がとられていない限り,同形式のBWR乃至はABWRはストレス・テスト以前に稼働不可能ではないのか。これに類似した可能性は,PWR乃至はAPWRにも起こる可能性は否定できないが,本当にチェックしたのだろうか。
  3. 1F3の場合,炉は定期点検中であって,「使用済み燃料プール」だけであって,本来安全の筈であった。にも関わらず,水素ガス爆発をした。その本当の経緯は何も語られていない。私の個人的な見解では,「使用済み燃料プールは構造的に不安定」では無かろうか:
    1. 何が本当の切っ掛けで「冷温停止の燃料プールで水素爆発」が起こったのか?
    2. 「冷温停止の燃料プール」としても,その容器は「水だけ」に近いのではないのか。このプールの容器は「原子炉建屋」だけであって,脆弱すぎる構造なのではないのか。少なくとも,原子炉建屋の外部に,「使用済み燃料プール建屋」を設置して,燃料棒間の距離を十二分に離して保管し,高濃度ホウ酸水で冷却するようなシステムを新たに準備するべきではないか。
  4. 津波被害にハイライトが偏っているが,地震波による直接被害の検証はいまだ皆無である。我が国の「建築学会」「土木学会」「物理学会」「放射線化学学会」などの参加を得て,「原子力学会」が政府とは独自に検証委員会を発足させる必要はないのか。
    1. いくら現状の原発事故対策が必要だからといって,事故を起こした東電が単独で現状を正しく検証するとは信じ難い。
    2. 「連続浄化システム」が曲がりなりにも運行を開始し出した現在,第三者の検証委員会が現場を調査する事が最優先するのではないのか。
  5. 1F全体の放射線分布も,詳細に計測し,事故の規模の正確な評価をする事は大切だ。4項の調査委員会と並行して,放射線調査委員会を発足させて,其の結果をインターネット経由で市民に公開し,報告書も同様に公開し,そのまま,IAEAに正式報告とするべきではないのか。
  6. 軽水炉型原発(BWR, ABWR, PWR, APWR)の弱点をさらに分析し,溶融塩型原発などへの転換可能性を早急に検討すべきではなかろうか。グリーン・エネルギーに乗り換えたとしても,これまでの軽水炉で使われて来た「使用済み核燃料」の保管は我が国の責任である事から逃れられないのだから。「政府」「国会」「財界」「学会」の全てで,冷静に,しかし早急に問題と向き合うべきなのではないのか。
    1. 此の問題は,「環境問題」「発展途上国のエネルギ問題」とも裏腹の関係がある。
    2. 我が国は,技術的にも,理論的にもこれらについて十分なバックグラウンドを有している。「官僚的な狭い了見」を捨てて,世界に我が国の意見として展開して行けば,国連とかIAEAでの活躍の場を得る事ができないだろうか?
  7. 福島県やその周辺の県に対して,健康に関するサポートは十二分に行うべきである。やはり専門の「放射線健康省」を設置すべきではないのか。これも 国連とかIAEAと連携して,公開を建前に活動する。
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このポストの履歴
  1. 開始 2011-07-10  (日) 23:33 
  2. 修正 2011-07-11  (月) 18:54 タイトルの変更

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