2011年7月4日月曜日 13:01

大震災後4ヶ月になるが

国会の論戦は空転を続けているとしか見えない。多くの議員は新しい内閣が出来ないと論議は進まないというのだが,本当か?

やはり,国会議員達に幾ら正しく論議してくれと願っても「思考力停止の彼ら/彼女ら」には所詮むりなことではなかろうか。勿論,かかる状況にあっても,悠然と省庁の利害にのみ着目している官僚の諸氏に期待することすら出来ない。

一番期待したのは,真実を伝えるジャーナリストの諸氏であるが,震災から2,3ヶ月の間は,緊張感が溢れ,真実の報道をする意欲の元に,鋭い切り口がみられた。ところが,特に原発事故が沈静化しつつある現在,報道が意識的に抑制されだしているように感じる。

今回の東電・福島第1原発の事故では;
  • 燃料棒の溶融がおこり,原子炉圧力容器から溶け出して,そのある部分は制御棒の周辺から溶融落下し,
  • 原子炉格納容器にも燃料棒の溶融物が溜まり,
  • さらに,格納容器の破損部分から環境に燃料棒の溶融物としての核分裂生成物質が水に溶解して拡散している。
これはこれで大変なことである。他方,これらの溶融物を冷却する為に水が注水され,其の為に高濃度汚染水が大量に発生している。これもここ数日のなかで;
  •  連続除染冷却システムが稼働することで,海水への汚染リスクを低減出来る可能性が出来た。
  • 仏・米の両国の技術支援を受けるという決断と,それに続く設計陣,建設陣の力量は我が国の基盤技術の高さを示すものであるが,世界に向けてその内容を公開する義務を我が国が負っていることを忘れてはいけないだろう。
  • また,短期間の工期,高濃度放射線環境,強い日射,放射線防護服を着用しながらの現地工事の皆様には市民全員が敬意の念を持ちます。感謝するとともに,福祉厚生,賃金の確保がなされる事を望みます。
これらの陰に隠れて,実際の原子炉事故調査委員会の伸展はどうなっているのだろうか;
  • 地震波の直接的影響の調査分析
  • 津波の直接的影響の調査分析
  • 原子炉の構造崩壊の調査分析
  • 原子炉から近隣地区までの放射線分析,質量分析などの調査分析
などがどんどん進行してしかるべきではないのか。これらが無いと,他の原発などでの安全性の確保の論議,原発再稼働の為の指針をつくることが出来ないのではなかろうか。

また,今回の原発事故で,私自身強く認識し出しているのは,
  • 原子炉建屋の内部爆発に対する脆弱性
  • 原子炉建屋の飛行物体にたいする脆弱性
  • 「使用済み燃料」の保管体制の脆弱性
がなんとも無配慮であるということです。ジャーナリスト達はこれを認識するにつれて,報道を自粛しているのではないか。

また,原子炉事故調査委員会は,これらの責任追及を恐れて,先に述べた調査分析を先延ばしにしているのではなかろうか。

他方,TV報道で散見して来たようだが,『軽水型原発の運行に伴って出来ている「使用済み燃料」』についての論議を早急に立ち上げる必要があろう;
  • 「使用済み燃料プール」という脆弱な構造に早急に手を打つ必要がある。
  • 「自然エネルギーへの転換」は賛成だが,
  • 「使用済み燃料」の中期的処理をも忘れられない;
    • これまでの高速増殖炉の発想は中止し
    • 「溶融塩型原発」なども冷静に検討するべきではないか。
これらの論議は,複雑になりがちなので,TVで始めるよりは,新聞やインターネットを軸に進めるのが善いのではなかろうか。

いずれにしろ,我が国の産業・環境・経済と幅広くリンクする論議なので,最早国会の論議にはきたいできないのである。ジャーナリストの皆さん,頑張ってください。

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  1. 開始 2011-07-04 13:01


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